治療法開発
①歩行機能
中枢神経系疾患後の歩行再建を目指して、新しい治療法の開発に取り組んでいます。研究として、経皮的脊髄電気刺激(tSCS)とエルゴメーターやVirtual Reality(VR)を併用した手法の効果検証、歩行に関与する神経機構である脊髄相反性抑制や屈曲反射、下肢筋力や歩行への効果を検証しています。


②運動制御・運動学習
リハビリテーションにおいて、運動制御や運動学習を向上させることは重要です。研究として、経頭蓋電気刺激(tES)、経皮的脊髄電気刺激(tSCS)、反復末梢磁気刺激(rPMS)、微弱経頭蓋超音波刺激(tUS)の効果を、経頭蓋磁気刺激(TMS)や脳波‐筋電図コヒーレンスなどの神経生理学手法と運動パフォーマンスから検証しています。また、睡眠が運動学習や脳活動に及ぼす影響を検証しています。






③筋緊張
中枢神経系疾患後に生じる筋の張りや突っ張りといった筋緊張異常の問題は四肢の動きを阻害し、日常生活活動を妨げるため、解決すべき重要な問題です。この筋緊張異常の改善を目指し、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)、治療的電気刺激などを用いた新しいリハビリテーション手法の開発と効果検証を進めています。

④注意機能
脳損傷後の注意機能障害は日常生活の妨げとなりますが、未だ有効な治療法は確立されていません。
研究では、律動性経頭蓋直流電気刺激(otDCS)、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)、経頭蓋交流電気刺激(tACS)を用いて注意機能に関する脳部位を刺激し、脳波や注意課題の結果から注意機能に与える影響について検証しています。

⑤意欲・モチベーション・中枢性疲労
モチベーションは、リハビリテーションの効果を高めるために重要です。
研究では、モチベーションが運動パフォーマンスに与える影響を神経生理学的側面から解明するための基礎研究をしています。また、経皮耳介迷走神経刺激(taVNS)を用いて、モチベーションに関わる神経ネットワークを変調し、運動パフォーマンスに与える効果の検証に取り組んでいます。
疲労は、パフォーマンスや作業効率を低下させ、機能回復を阻害する可能性があります。研究では、中枢性疲労に対して経皮的耳介迷走神経刺激(taVNS)を用いて、認知課題によるパフォーマンスに与える影響を検証しています。


評価法開発
①痙縮・筋緊張異常、連合反応
中枢神経系疾患に伴う痙縮や筋緊張異常(連合反応)の病態解明や評価法の開発に取り組んでいます。研究として、病期別にみた痙縮の実態を把握するため、経頭蓋磁気刺激法や超音波画像評価法を用いた神経生理学的・筋構造学的評価を行っています。また、筋緊張異常(連合反応)を臨床で定量的に評価できる評価法の開発とその病態解明について臨床研究を行っています。



②起床時不快感
起床時不快感は、起床時特有に身体に生じる不快感のことで、日常生活活動の低下や気分低下を引き起こす可能性があります。研究では、アンケートや睡眠計測などを用いて、脳卒中後に起こる起床時不快感の実態把握を目的に臨床研究を行っています。
